授業開始前には解答が記入されている

高校の学力レベルを図る一つの指標として、東大にどれだけの学生を送ることができたかというものがありますが、その点で言うと桜蔭学園は非常に優秀で、東大に最も近いとさえ言われます。
それだけの学力を維持しているのには、桜蔭学園独特の学習についての文化があります。

まず、桜蔭学園の教室に入って驚くのは、それぞれの教室に4つの黒板が置いてあることです。
そして、授業が始まる前、つまり休憩時間には、黒板に向かって次の授業で出される問題の解答を書いている生徒がいるのです。
あらかじめどの問題を解くのかは割り当てられていて、それを授業が始まる前に記入しています。

そして、授業では答え合わせをするというよりも、それぞれの解答についての解説や新しい内容の学習を進めていきます。
それだけ、生徒たちが予習をしてくる、宿題を完全にやってくるというのは当然のことになっていますし、授業の時間を最大限に利用するために休憩時間さえ活用しているのです。

自分なりの解答方法を作り上げていくノート術

桜蔭学園の生徒は、ノートの取り方も独特です。
まず、見開きのページのうち、左側に自分なりの解答とその方法を書き込んでいきます。
そして、右側のページには先生や他の生徒の解答方法を授業中に書き込んでいきます。

そうすることで、自分の解答との差を比較して、どのようにしたらもっと優れた解答方法を得らえるのかを考えることができるのです。
単に正しい解答を得るというだけでなく、自分自身の解答方法を求める能力を高めていくことができるノート術だと言えるでしょう。
特に理系の問題においては、答えを導き出す過程というのがとても重要ですし、それによって理論からの応用方法が変わってくることもありますので、こうしたノートを取ることによってより力を付けていくことができるのです。

五時には上がってメリハリのある生活を送っている

このように、非常に勉強に熱心な様子が見られる桜蔭学園ですが、いわゆるがり勉タイプの生徒が多いわけではありません。
その証拠に、午後5時になると学校には生徒がほとんどいなくなり、それぞれが部活動にいそしんだり帰宅したりします。
勉強だけでなく運動系の部活を楽しんでいる生徒も多く、文武両道の精神が行き渡っています。

このように、授業時間には勉強に集中、それが終わったらそれぞれの活動をするというように、メリハリのある生活を送っているのも特徴です。
こうした学生生活はとても楽しく、充実感に満ちたものとなりますので、より勉強を楽しめるという好循環が生まれているのです。
桜蔭学園が理系に強く、日本トップレベルの教育を実施しているのも、こうしたところに原因があるのでしょう。